講座開催レポート

講座

NEW 終末期・緩和ケア医としての体験から 山崎 章郎 2025年11月16日

日曜講座 日常生活の中で生きる/活かされるイエスの教え―生と死に向き合ってー 第2回
日時:2025年11月16日(日) 14時~16時
講師::山崎 章郎(ケアタウン小平クリニック名誉医院長、元聖ヨハネ会桜町病院ホスピス科部長)

 

 2025年問題として年間死者数が160 万人と団塊世代が後期高齢者に入って、その数は急激に増え、どこで死ねばよいのかという”死に場所難民”の問題がクローズアップされている。外科医として現場で患者さんと向き合う中、納得のいかない延命治療に疑問を持ち、最期の時を人間の尊厳を損なわずに見送ることはできないかと模索を続けている最中に、淀川の聖隷病院の取組みを知り、1991年に「聖ヨハネ会桜町病院」が立ち上がり、ホスピス棟を新設。そこでは医療チームケア、介護、そしてボランティアの働きがある。死に直面する人には4つの苦痛があるという。身体的苦痛、社会的苦痛、心理的苦痛、そしてスピリチュアルペインだ。ある患者さんはとても読書が好きで、入院しても、いつも傍らに本があったが、いよいよ手に力がなくなってくると本を抱えることができなくなり、それを見たボランティアさんがページを1枚づつコピーをとって読書を続けられるようにしてあげたことがある。これこそ人と人との思いやりや繋がりが患者さんの苦痛を和らげるスピリチュアルケアであると先生は確信。社会の風を吹き込むボランティアの存在は大きい。また、病棟では死に関する話題は避けず、最後はできるだけアットホームな環境で、消灯もペットもお酒も制限していない。
 しかし、患者さんの本音を聞いているうちに、やはり最期は家で過ごしたかったという思いが強いことに気づき、次のステップとして在宅での緩和ケアの拠点として「ケアタウン小平」を立ち上げる。桜町の近くにデイサービス、子育て支援、配食サービスや在宅介護事務所等の施設もすべて入り、地域と密接したなかで医療チームは在宅ホスピスケアとして外に出て行くことを続けている。
 そんな時、7年前に自分自身が大腸がんステージ4の宣告を受け、抗がん剤治療も休み休み受けたが、他への転移も認められ、このまま継続すると日常の仕事に支障もきたすと判断し、医者として治療法を模索する中でガンも生き物、その栄養源は糖質と知り、糖分を減らし脂質をアップさせる食事療法を実施し、副作用が少ない程度で抗がん剤も使うという、共存療法を試みている。現在のところガンは消えたわけではないが、大きくなってもおらず、自身で試した臨床試験のまとめを症例報告や参考文献をつけて近々専門誌に発表するめども立った。
 ホスピスは現状ではその数も不足しており、なかなかすぐに入れないという状況はある。また、現時点ではガンとエイズ患者のみが入居対象者とされているが、腎不全など他の疾患に対しても受け入れられるように厚生労働省は検討を始めている。そのため、ホスピスに代わる施設として昨今は民間会社が経営する有料老人ホームを使って看護師が24時間体制でケアできるホスピス型住宅があり、苦痛緩和もできるようになっている。しかし、会社としてのビジネス体質は免れない以上、悪質な事例も見受けられ、内部告発によって問題が提起されている。すみやかな改善が求められることを願っている。

 次回の日曜講座は12月7日:島薗進先生による「死に向き合って生きる」を予定しています。日本人の死生観を読むという事で万葉集から夏目漱石、金子みすずからホイベル神父の死生観まで、宗教の影響が衰えた時代では「死の教育がない」と指摘されていいます。このような観点でお話が聞けると思いますのでぜひご参加下さい。


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